端書文庫(音楽でポエム書いてみた)

音楽聴いてポエム書いてます!おススメの曲あれば教えてください!よろしくお願いします!

『花束の先』

 


彼女のことが好きなんだ。

君はまだ気づいていないかもしれないが、ぼくはささやかな、それでいて華やかな彼女の姿を知っている。

それは、黒板を見つめる瞳。
それは、友人と戯れる指先。
それは、居眠りする横顔。
それは、彼女のいる世界。


いつどこに居たとしても、彼女のことを考えるだけで幸せが訪れるんだ。

だけど同時に、

彼女は痛みをも連れてくる。
彼女の瞳にぼくはいないという事実とともに。


幾つもの帰り道を経ても変わらない世界に、
お気に入りのナンバーの数だけアクセルを踏み、
立ち向かう準備をしてきた。


今日が決戦の日だ。

下馬評は最悪かもしれない。
だけどこの世界の終末になにが待っているかは誰にも分からない。

だからぼくは、
嬉しさだけが待ってるんじゃないかと、
少しだけ期待しているんだ。

 


花束を携えて、
彼女の瞳が見出す未来を知るために、
彼はもう一度お気に入りのナンバーを聴いた。

 


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参考

『Bulemin' Days』 Yogee New Wavesさん

『玉響』

 


家路を歩く。遠回りして歩く。
見覚えのある景色。そこにあった何か。


歩道橋から眺める。そこにいたはずの君。
あの頃の思い出。共通の話題。


声に出すと風とともに流れ行きそうだから、
胸にしまい強く願う。


できるならこのまま、
この風景の中に、
この記憶を。


家路を歩く。少しずつ歩く。
明日を迎えるために。
真新しい空に溶け込むために。


はらり、はらり、零れる。
儚い世界にあった、綺麗な光。
自分が生きていたと思える、唯一の証。


何かが消えゆく、この世界に溶け込む。
いつか零れ尽くすまで。
玉響の光が消えるまで。

 


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参考

『はらり』 環ROYさん