家路を歩く。遠回りして歩く。
見覚えのある景色。そこにあった何か。
歩道橋から眺める。そこにいたはずの君。
あの頃の思い出。共通の話題。
声に出すと風とともに流れ行きそうだから、
胸にしまい強く願う。
できるならこのまま、
この風景の中に、
この記憶を。
家路を歩く。少しずつ歩く。
明日を迎えるために。
真新しい空に溶け込むために。
はらり、はらり、零れる。
儚い世界にあった、綺麗な光。
自分が生きていたと思える、唯一の証。
何かが消えゆく、この世界に溶け込む。
いつか零れ尽くすまで。
玉響の光が消えるまで。
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参考
『はらり』 環ROYさん